派手なパーティーに、バカンス三昧。ギャングの愛人となり、人間以下の扱いを受けてもセレブ生活をやめられないブロンド美女・サーシャ。
そんなある日、彼女は素朴な青年・トーマスと出会う。彼との出会いが彼女にもたらすものは?
脚本家ヨハネス・オルグレンの実体験の基づいて描かれた映画『ビッチ・ホリデイ』。前回に引き続き、あらすじと感想(後編)を紹介します。
目次
<前編の記事はこちら>
【ネタバレなし】映画『ビッチ・ホリデイ』のあらすじと感想(前編)
映画『ビッチ・ホリデイ』のあらすじ(後編)
トーマスとの再会
サーシャがトーマスのいるヨットに向かい挨拶を交わすと、トーマスはサーシャとの再会を喜ぶ。
サーシャの首元の傷についてトーマスが尋ねると、サーシャはスクーターで転んだためだと答えた。
マイケルの登場
するとそこへマイケルがやってくる。マイケルを交え、トーマスたちと酒を飲み交わすも、サーシャは気まずさを隠せない。
トーマスは、船乗りとしての生活に至るまでの経緯について語る。
販売員をしていたトーマスは、「感情」を犠牲にしながら仕事をしていたことに限界を感じたのだという。
マイケルは、「感情」という言葉の意味に疑問を持つも、トーマスは部屋を売り、船を買って航海に出たことがすべてを与えてくれたと語る。
サーシャを問い詰めるマイケル
しかし、マイケルはトーマスが決して満たされているようには見えないと語り、女を連れ込んでいるんだろうとけしかける。
トーマスは笑いながら、毎日フレデリックと飲んでいるだけだと答えた。
ヨットを後にしながら、「どこで出会った?」とサーシャに問い詰めるマイケル。
マイケルの逆鱗に触れる
翌日、マイケルは再びトーマスと話がしたいと、トーマスをヴィラに招待した。
マイケルはトーマスに自身の武勇伝を語った後、サーシャとの関係についてマイケルに問い詰めた。
そしてマイケルはトーマスに女の扱い方を教えるといい、サーシャを呼び出し、サーシャに下着を脱がせた。
マイケルはヴィラを飛び出し、マイケルはサーシャの頬をぶった。
サーシャを突き放すトーマス
マイケルに暴力を振るわれたサーシャは、再びトーマスがいるヨットへと向かう。
サーシャは一連のやりとりを謝罪するも、トーマスはサーシャの首の傷を見て「イカれてる」と吐き捨てる。
足を踏み外し、転倒したトーマスをサーシャが気にかけるも、トーマスは「今すぐ出て行け」と叫び、サーシャを突き放す。
逆上するサーシャ
すると、サーシャは逆上し、水差しでマイケルの頭を殴り殺害する。サーシャは水差しと靴を海に投げ捨て、裸足でフラフラと警察へ向かった。
しかし、警察は薬で「キマってる」だけだと相手にしない。サーシャはマイケルの隣でタバコをふかしている。
サーシャのその後
その後、サーシャは港に向かいトーマスと連絡がつかないとフレデリックに語る。
同じくトーマスと連絡がつかないと語るフレデリックをランチに誘い、サーシャはその場を後にした。
マイケルたちは、巨大なボードでバカンスの続きを楽しんでいる。サーシャも海を眺めながら笑顔を見せた。
映画『ビッチ・ホリデイ』の感想(後編)
サーシャは「ビッチ」なのか?
映画のタイトルからして、相当なビッチ系女子が主人公かと思いきや、サーシャはちょっと素朴な雰囲気もある女の子だったのが意外だったわ。
「普通の女の子」っぽさを演出していたのかしら。最後の最後で、「やっぱりイカれてる!」と失望させられることになるんだけどね。
なんかいつもボーッとしてる?
マイケルは怒りっぽいし、常に緊張感ありまくりな環境なはずなのに、サーシャはいつもどこかボーッとしてる。
ふらっとトーマスのところに行っちゃったり、バイクで事故ってみたり。見ていてヒヤヒヤしたわ。
タイトルの「ビッチ」は、外見というより自分の軸を持っていないように見える彼女の生き方のことなのかもしれないわね。
サーシャの住む世界
"感情"を大事にするトーマスと、権力やトラブルを生きがいにするマイケル、そして人間以下の扱いをされてもセレブ生活がやめられないサーシャ。
3人とも結局それぞれ「住む世界が違う」人たちだったのかも。
サーシャはトーマスと出会って、人間らしい心を取り戻しかけたように見えたけど、結局、トーマスに受け入れてもらうことはできなかった。
普通の生活に戻れるのか?
マイケルの世界に完全に染まることはできないけど、普通の女の子の生活にももう戻れない、というところまで来てしまってたのかも。
あのままトーマスと駆け落ちしていたとしても、自堕落なセレブ生活にどっぷり浸かっていたサーシャが、トーマスとの生活になじめるかしら?
トーマスにあらゆる自分を見透かされ、自分自身に絶望して、あんな悲劇を起こしてしまったのかもしれないわね。
サーシャの心理は?
不健全な環境に依存すると、歯車が狂って抜け出せなくなる。でも、いつかそんな非日常から現実に引き戻される時が来る。
サーシャはそのことに気づいているのかしら?ラストシーンのあどけない笑顔を見てなんとも言えない気持ちになったわ。
若いうちにしか許されない世界は、同時に若いうちに抜け出さなければいけない世界なのかもしれない、と思わされるわね。